中国の華南地方に位置する広東省。香港やマカオと接する地域で、深圳経済特区を抱える電気・電子関連企業の集積地域だ。中国の中でも、LED照明産業に力を入れている地域である。

 同省の科学技術庁によると、広東省にはLED関連産業が4000社あまり存在し、そのうち25社が上場を果たしている。関連産業に従事する人々は、約300万人に達するという。同省にある企業によるLED照明関連産業の売り上げは、2014年の推定で約3500億元(1元=19円換算で約6兆6500億円)を超え、中国全土の60%を占めると見られている。

 広東省の中山市古鎮鎮には中国でも有名な照明の巨大卸売市場「灯飾市場」があり、「中国照明器具の都」とも言われる。省都の広州市から渋滞がなければ2時間程度で着く。

中山市古鎮鎮の灯飾市場(写真:Granage)
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 鎮鎮には大きく七つの卸売市場が存在し、そのうちの一つ「瑞豊国際灯配装飾城」を歩いた。この卸売市場は2010年の設立で、LED照明関連部品や照明器具などを販売している。店舗数は1000店を超える。

 LEDのCOB(chip on board)は、まるでシールのように入口の扉に張り付けられている。同じような製品を扱う商店がいくつも連なり違いはほとんど分からない。現在、COBパッケージ価格は中国内トップ企業のLEDチップを採用した製品で、1W当たり0.3~0.5元(約6~10円)で販売されている。最近ではフィラメントタイプの製品も販売を伸ばしており、安いものでは卸値で5.5元(約104円)から、意匠特許を取得した製品は45元(855円)で売られていた。

 表面実装品(SMD)に至っては中国のトップ企業のもので3013タイプは0.1Wのもので1000個19元(361円)。1個当たり約0.36円、5252タイプは1Wのもので1000個160元(3040円)。1個当たり約3円だ。これらはあくまで店頭価格で交渉次第でさらに安くなる。

卸売市場では、COBパッケージが入口の扉に貼り付けられている(左の写真)。中国内トップ企業の1W品が0.3~0.5元で販売されている(中央の写真)。最近販売数量を伸ばしているフィラメントタイプの電球。安いもので5.5元の卸値で販売されている(写真:Granage)
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 卸売市場を歩いて再認識したことは、LED照明関連製品の価格が急速に下がっているという事実だ。価格競争が激化する巨大市場で、日本企業はいかに戦っていくべきか。そのヒントを探るため今回、中国トップのLEDパッケージメーカー2社と、佛山市にLED技術サービスセンターを構えるカネカの中国法人、鐘化貿易(上海)を訪問した。