シャープの亀山工場
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 「シャープ、赤字転落」――。2015年1月19日付の日本経済新聞朝刊に、シャープの業績の異変を伝える記事が掲載された。シャープの2015年3月期(2014年4月~2015年3月)の業績が、従来は300億円の黒字を予想していたが、再び連結最終赤字に転落する見通しになったという。シャープはこの報道について、「当社が発表したものではありません」「業績予想の修正については検討中であり、確定次第速やかに公表します」としたが、2014年10月31日に発表した連結業績予想を下回る見通しであることを明らかにしている。

 シャープの業績に異変が起こった原因は何か。大きな要因の1つに、液晶事業の不振がある。ただ、テレビ用を中心とする大型液晶パネルの足元の事業環境は悪くない。「40型台後半および50型以上の大型パネルは不足している。32型は一部の中国メーカーの過剰生産によってだぶつき気味だが、業績を悪化させるほどの規模ではない」(調査会社のアナリスト)。

 シャープの液晶事業の不振は、スマートフォン(スマホ)用を中心とする中小型液晶パネル事業の低迷によるところが大きい。シャープはこの分野で先行したものの、競合他社の台頭による競争激化や、スマホ市場の環境変化によって苦戦を強いられている。

 その象徴が中国のスマホ市場向けのビジネスだ。米Apple社の「iPhone 6/6 Plus」向けの商戦が峠を越えた2014年末以降の主戦場として、液晶パネル各社が位置づけていたのが中国スマホ市場である。