日経BP社は2015年1月20日に『ASEAN医療マーケットレポート』を刊行した。これはシンガポールのClearstate社が独自の調査に基づいて作成した『Healthcare Landscape in ASEAN』を翻訳したもの。同社は英国The Economist Intelligence Unitのヘルスケア専門リサーチ・コンサルティング部門であり、東南アジア各国にコンサルタントチームを配置している。中でも特に医療器具・画像診断機器や臨床検査などの分野で経験豊富な人材を多く抱え、東南アジア市場に関心の高い世界の企業に情報を提供している。

 『ASEAN医療マーケットレポート』では、ASEAN10カ国の中でも大きく市場が成長すると予想されるインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの4カ国に焦点を当てている。それぞれについて人口動態、医療費の動向、病院等のインフラ整備状況、医療従事者のスキルや教育レベル、各国の医療プロセス、規制環境さらに保険償還制度など、医療市場を取り巻く環境を包括的にまとめている。また、各国の主要なディストリビューターのリストも収録した。

 本レポートがASEANに関するほかの資料と最も異なる点は、Clearstate社のオリジナルデータベースに基づく市場予測を収録していることだ。例えば、ASEAN最大の人口(約2億4000万人)を抱えるインドネシアは、2019年までに国民皆保険を達成することを目標とした法案が既に成立している。2013年には97ドル(米ドル換算)だった国民1人当たりの医療費は、2018年には173ドルに増えると予想されている。

 Clearstate社はこうした事情を背景に、2012年に1億800万ドルだった主要な画像診断機器の市場は年福利成長率5%で増えていき、2017年には1億3800万ドルになると予測した(図1)。中でもMRIの需要が大きく、2012年に1550万ドルだった市場は2017には3240万ドルにほぼ倍増する。

図1 2012-2017年のインドネシアの画像診断機器の市場規模 (単位100万米ドル、出典:Clearstateデータベース)
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 なおデータを詳しく紹介した4カ国に加え、巻末にはASEAN10カ国の基本データや人口動態・疾病動向などの資料を収録している。『ASEAN医療マーケットレポート』の詳細はこちら