2014年最大の技術トレンドは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)でした。2015年も、間違いなくこのトレンドは続くでしょう。半導体業界は、IoTによって数兆個の半導体デバイス需要が発生するという予測に沸き立っています。しかしその一方で、「これほどの需要を作り出す具体的なアプリケーションは何か」「そのようなアプリケーションの実現に必要となるイノベーションは何か」「IoT用デバイスを製造し、チャンスを手にするのは誰か」といった疑問の声も聞こえてきます。

 こうした疑問に対して、SEMI主催の半導体製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2014」(2014年12月3日~5日、東京ビックサイト)の特別展「World of IoT」は、キーノートおよび技術講演、そして展示会での製品展示を通して、垂直統合されたマーケットの構造、実際のアプリケーションやデバイスとそれを可能にする製造技術など、さまざまな情報を提供しました(SEMICON Japan 2014関連記事)。

 World of IoTは、IoTマーケットにおいて日本固有の特徴が生かされる可能性も示しました。日本企業は高い技術力と製造設備の両方を兼ね備えており、ソリューションを素早く提供する準備が整っているのです。アプリケーションの国内サービスはいつでも開始可能であり、デバイスメーカーも必要な生産能力をすでに保有しています。

自動車と産業用オートメーションがIoTの恩恵を受ける

 IoTアプリケーションの恩恵を最初に享受すると見られる分野には自動車と産業用オートメーションがあり、ヘルスケアがそれに続くことになるでしょう。トヨタ自動車 電子技術領域・常務理事の野村得之氏(写真)は、SEMICON Japan 2014のオープニングキーノート講演において、トヨタが提唱する「サステイナブル・モビリティ」に貢献する次世代環境車や先進安全技術、また車を介してドライバーが社会とつながることで創出される新たな価値を、IoTを活用して実現すると語り、そのソリューションの提供を半導体産業に求めました。

※ 現在や将来における他の人間や生態系の基本的価値を犠牲にすることなく、自由に移動し、目的地へ到達し、連絡を取り、交易をし、関係を樹立するための社会の必要性を満たす能力
トヨタ自動車 電子技術領域・常務理事の野村得之氏
トヨタ自動車 電子技術領域・常務理事の野村得之氏

 トヨタ自動車は、World of IoTに自社ブースも出展しました。そのブース内で野村氏に出展の目的をお聞きしたところ、「SiCパワー半導体の開発におけるトヨタのリーダーシップを半導体業界に対して提示する」とのことでした。

 一方、製造業のオートメーションにおけるIoTの活用も、多くの講演で取り上げられました。展示会場では、シスコシステムズが産業用の高耐久型ネットワークスイッチ「Industrial Ethernet 2000 IP67」を展示していました。