「日本の電子産業の活力は何で測ればよいのか」と題したSCR大喜利。現在の日本の電子産業の活力を読み解くためのアイデアを聞いている。今回の回答者は、IHSテクノロジーの大山聡氏である。

大山 聡(おおやま さとる)
IHSテクノロジー 主席アナリスト

1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年より現職で、二次電池をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。

【質問1】現在の日本の電子産業の“活力”を海外の国や地域と比較する場合、“活力”をどのように定義しますか?
【回答】その国を代表する電子産業企業群の業績が良くなっているかどうかで“活力”を測ることができる。

【質問2】日本の現在の“活力”を測るための指標として、どのような統計値、予測値に着目しますか?
【回答】東証の電気機器セクターの株価動向・時価総額を、例えば米国NASDAQの動向や時価総額と比較する。

【質問3】現在の日本の電子産業の“活力”は、過去の日本や海外の国や地域に比べてどのような状況にあるのでしょうか?
【回答】少数の例外を除けば、“活力”の足りない企業が多過ぎる。

【質問1の回答】その国を代表する電子産業企業群の業績が良くなっているかどうかで“活力”を測ることができる。

 例えばApple社が米国内に工場を持たず、ほぼ全数を中国のEMSに生産委託していても、同社の売上や営業利益、当期利益が同社の活力を明確に表している。同社に半導体や部品を供給している企業、あるいは同社から生産を委託される企業も、同社の活力を利用して自社の活力向上に利用しようとする。活力のある企業の周囲には協力者が集まり、同時におカネも情報も集まるようになるので、それが新しい活力を生み出す源にもなり得る。

 日本の電子産業企業も例外ではない。売り上げや収益などの業績が良ければ“活力”がある証になる。生産を外部に委託しようが海外シフトしようが、日本の本社に対して各国の企業がさまざまな売り込みやアプローチを掛けてくるのは必然である。