2014年秋の欧州での製品発表を皮切りに、日本でも製品の投入を公表した。欧州では2015年1月から発売し、日本は同年2月に販売を始める。2015年1月6~9日に米国ラスベガスで開催された「2015 International CES」では、北米での投入も明らかにした。これで日米欧の3地域でテクニクスを展開することになる。
プロジェクトを指揮したパナソニックの小川理子氏(ホームエンターテインメント事業部 テクニクス事業推進室 室長)は、同社の音響研究所でオーディオ機器関連の技術開発を手掛けるなど技術者として活躍した経歴を持つと同時に、14枚のアルバムをリリースしてきたプロのジャズピアニストでもある。北米での製品投入を発表したCESの会場で、小川氏にテクニクス復活の反響や、開発への思い、北米での展開などについて聞いた。(聞き手は、高橋史忠=日経テクノロジーオンライン)
―― 「テクニクス」ブランドの復活を昨年秋に欧州で発表し、日本でも製品を発表しました。これまでの周囲の反響はどうですか。
小川 特に欧州では、「よくぞ欧州で復活宣言してくれた。ありがとう」とポジティブな反応でした。高級オーディオは、まずはユーザーに価値を十分に説明し、製品の良さを伝えてもらえるディーラーがとても大切です。発表以来、ディーラーからの関心も高く、店頭に早く並べたいという声をもらっています。現段階では数十店舗が店頭で「Technics」をPRしていくということで商談が順調に進んでいます。
特にうれしかったのは昨年の12月。ドイツのオーディオ専門誌では、音響の測定でプレミアムクラスのアンプとネットワークプレーヤーに最高の評価を受けました。スピーカーもほぼ最高得点に近い評価でした。
これから英国などでも評価が雑誌に掲載されていくでしょう。ドイツや英国では雑誌で評価を読んで自分の耳で確かめてから購入する高級オーディオ機器のファンも多いので、販売に弾みがつきそうです。
―― なぜ、最初が欧州だったのですか。
小川 1965年にテクニクスが誕生してから、欧州はずっと戦略地域でした。だから、今でもブランド認知率が高い。テクニクスブランド製品を長く使い続けているユーザーがいて、ドイツと英国では、まだ50%以上の認知率があります。
音楽文化の面でも、音にこだわりを持つオーディオファンが多く、古き良きオーディオ機器を大切にする文化が根付いています。だから、新しいテクニクスでも、まずは欧州を戦略地域にしました。