こんにちは。かなりあ社中のヤマケイこと山本啓一朗です。
前回、かなりあ社中は、宮城県・気仙沼に自社工場「中華高橋水産」を持つ中華食材大手の「中華・高橋」を経営する高橋滉社長と気仙沼のサメについて対話したことを紹介しました。高橋さんは、サメの街気仙沼構想推進協議会の事務局長を務める人物です。協議会は、フカヒレではなくサメという埋もれた地域資源を磨き直すことで、水産業の枠に収まらない地域ブランディングを目指しています。
気仙沼のサメ漁の根本的な課題である鮮度問題。それは、サメ漁に使われている延縄(はえなわ)船の構造上の問題でした。気仙沼の延縄船は昔ながらの大型船で、冷凍庫も搭載されていません。港を1度出ると1カ月以上は戻って来ないので、その間に捕れたサメは氷付けで保存されることになります。超低温冷凍庫を搭載している船であれば、漁獲時点での鮮度を保つことができるのですが、氷付けの場合は少しずつ鮮度が落ちてしまうため、航海の初期に捕れたサメの鮮度はあまりよい状態ではなく、結果として「魚価の低下」を招いている状況です。
船を何とかすればいいのでは?
高橋さんに「鮮度問題」について伺った我々かなりあ社中は、「だったら、問題の根本である船を何とかすればいいのでは?」という安直な着想を得ました。
はい、そうです。安直です。ただ、気仙沼の地元で生活する当事者の漁業関係者のみなさんは、これまでの歴史的背景とさまざまなしがらみがあるので、得てして安直な解にたどり着けないものです。この安直な発想は、第三者であるかなりあ社中ならでは、とも言えます。
「もしかしたら、そこにイノベーションのヒントが隠されているかもしれない…」という非常に淡い期待を胸に、「船のことなら、まずは船の専門家に聞くべきだ」という日経テクノロジーオンラインの鬼編集者F氏の紹介で、専門家の下を訪ねることにしたのです。