株主への利益還元を積極化する動きが目立っている。前回取り上げた富士フイルムホールディングス以外にも、カシオ計算機は増額した配当と自社株買いで、合わせて約200億円を株主に還元する。これは当期純利益の9割に迫る額だ。金属加工機械のアマダは今期と来期の2年間、当期純利益の全額を配当と自社株買いに充てる。インテリア大手のサンゲツは、今年度から3年にわたって当期純利益を上回る配当と自社株買いを毎年行うという。

 これらの企業に限らず、株主に対して利益還元を積極化する動きは上場企業全体の傾向として加速している(図1)。この動きをどう考えるべきなのか。今回はそれについて考えてみたい。

図1●積極化する株主還元
図1●積極化する株主還元
出典:日本経済新聞2014年11月21日朝刊