実際にはできないことを言ったり、無理やり企画したりすることを、大風呂敷を広げると言う。また、自分の力量以上のことをできるように見せかけることでもあるようだ。

 この大風呂敷、あまりよいことではないと思われているようだが、私は、大風呂敷を広げるように心掛けている。何と馬鹿なことを言うのかと叱られそうだが本当だ。実は、開発をする時には、大風呂敷を広げた方がよいのである。

 以前、こんなことがあった。アイデア会議の席で、ご担当から出たアイデアに対して、その上司が「そんな大風呂敷を広げて、出来なかったらどうするのか」と、たしなめたのである。言われた方は、実際に出来るかどうか分からないのでそのまま黙ってしまったのだが、私は逆に、大いに大風呂敷を広げようと言ったのだ。

 できるかできないかはやってみなければ分からない。そして、もしもできなかったら止めればよいのである。最初から、アイデアの芽を摘んでしまったら、誰からもアイデアは出なくなり、結果、選択肢も狭くなり、開発そのものが小ぢんまりとまとまってしまい、大きな成果など得られるはずはない。