「理系と文系の境界に価値が生まれる」
「よい製品を作っただけでは収益をあげられない」
「3Dプリンタの出現により製造業もパーソナル化」
「モノは安く売り保守サービスや消耗品でマネタイズする」
「Googleが自動運転に乗り出す時代には製造業とサービス業の区別がなくなる」

 もう年の瀬ですね。今年もこのコラムを読んで頂きありがとうございました。製造業、ITの分野はこれから大きな変化を迎えそうな予感がする一年でした。インダストリー4.0、インダストリアル・インターネットと呼ばれるように、ITを活用することで製造業が大きく変わろうとしています。

 ITと製造業の融合の時代にGoogleやAmazon、IBMなどのIT企業が主導権を握るのか。それとも、ソフトウェアに注力し始めたGEのような製造業が主導するのか、連携やせめぎ合いが始まっています。エンジニアとしても一つの専門分野に留まらず、広く技術から経営までを俯瞰できるMOT(技術経営)の素養を持った人材が必要とされています。

 このような社会、産業の変化に呼応してか、教育も変わろうとしています。大学入試も抜本的に改革され、従来のペーパーテストの知識重視の試験から知識の活用重視、人物重視の入試に変わろうとしています。理系の場合には、物理・数学などの専門知識だけでなく、技術をサービスに結びつけたり、マネタイズする部分も重視されるようになるのでしょう。

 このコラムを4年ほど前に始め、MOTの重要性を訴えてきた私にとっては、社会が主張してきた方向に変わりつつあると言えますが、正直なところ、現在の教育改革に対しては複雑な思いです。もっとはっきり言うと、改悪になると感じています。というのも、MOT:技術経営を学ぶには順番が極めて大切です。技術が先で経営が後。基礎が最初で、次に応用を学ぶべきなのです。