11月下旬の某日、「東京エレクトロンデバイス(TED)が米Xilinx社の代理店から外された」というニュースが飛び込んできた。筆者は両社の関係を良好だと思い込んでいたし、TEDはXilinx社の代理店として顧客からも好評を維持していたはずで、このニュースは寝耳に水だった。両社のホームページにはそれに関する発表は何もないが、多くの顧客がXilinx社に苦情を告げているようで、どうやら事実らしい。

 こうした動きから感じ取れるのは、「メガ・ディストリビュータ」と呼ばれる海外の大手商社が日系商社の事業領域に食い込みつつあることだ。メガ・ディストリビュータが今後、日本の半導体流通市場にも影響を及ぼしそうであることを、以下では指摘したい。

メガ・ディストリビュータが流通市場を掌握

 図1に示したのは、メガ・ディストリビュータの代表格である米Avnet社、米Arrow Electronics社(以下ではArrow社)、台湾WPG社と、主な日系半導体商社の売り上げ規模を比較したものである。非上場企業は除いている。

図1●主な半導体商社の売り上げ規模
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 メガ・ディストリビュータ各社はこれまで、M&Aを繰り返して売り上げを拡大してきた。対する日系各社はM&Aにはあまり積極的でなく、デバイスメーカーの再編を優先した企業統合や商権移管などの動きが多かった。積極的なM&Aの是非はともかく、1兆円を超えるような売り上げを誇るメガ・ディストリビュータが、デバイスメーカーに対して強力な発言力を持っていることや、世界の半導体流通市場をコントロールし得る立場にいることは事実だ。