前回は「BOM構築の投資対効果をうまく説明できない」というテーマを受けて、筆者が経験した事例におけるグローバル統合BOMの訴求ポイントを整理し、以下の4つの改革コンセプトを紹介しました。

[1]技術情報統合管理と需要変動対応力強化

[2]生産拠点の部品情報見える化

[3]グローバル調達基盤

[4]開発プロセスを支援する情報インフラの標準化

 今回は、この各コンセプトのうち、[1]から[3]までの内容を具体的に紹介します。

[1]技術情報統合管理と需要変動対応力強化

 1番目の改革コンセプトである、「技術情報統合管理と需要変動対応力の強化」について説明しましょう。技術情報統合管理とは、3Dモデルや図面、仕様書や実験結果などを、設計BOMを構成するアセンブリや部品に関連付けて一元管理し、それらの情報を事業部の壁を超えて共有することで効果を創出しようという考え方です。

 日本の製造業の従来型の開発・生産連携モデルは、図1の左の「導入前」のイメージだと思います。開発の各製品がそれぞれ一つの事業部を表していると考えてください。開発と生産工場は固定化された関係です。生産工場は特定事業部の生産を担当しており、他事業部の製品は生産しません。市場が右肩上がりで需要が安定している時代は、これでも問題ありませんでした。

図1●技術情報統合管理と需要変動対応力強化
図1●技術情報統合管理と需要変動対応力強化
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