若い頃から心掛けているのは、とにかく、お客様のところにはこちらから行こうということである。クライアントでも、クライアントの客様でも、何かのご相談であっても、とにかくこちらから行くのである。こんなことがあったからだ。

 大学の研究成果を知的財産権と共に活用して事業化するという国の事業がスタートして、ある大学のお手伝いをすることになった。大学教授の研究を知財化するのと、それを実際に事業化するのだが、この時、気付いたことがある。

 それは、私が研究案件を知るために、最初はこちらから研究室にお邪魔しようと言ったのだが、多くの先生方から「研究室は手狭でごちゃごちゃしているから、会議室でやりましょう」と言われたのである。

 そう言われれば仕方ない。会議室で資料を見ながら説明を受けるのだが、何ともつまらない。何がつまらないかと言うと、要するに、ご自分では凄い研究をしていると思っているのかもしれないが、こちらから見ると、全然、面白くないのである。