三反田久弥氏が運営する会員制コミュニティー「Settenn」。月額1万円の会費で、会員企業の人と人をつなぐサービスを提供している。このコラムでは、同氏をハブに集う300社を超える会員企業の中から、商品やサービス、技術で新機軸を打ち出す企業経営者をゲストに迎え、企業経営に懸ける思いや新しい事業を構築する際の考え方などを聞いていく。
 今回のゲストは、「供養」を軸にした総合支援ビジネスを展開するエンディングイノベーションの柳瀬光太郎社長と、メンタルヘルスケア関連の支援サービスを手掛けるヒューマンリソースマネージメントの結城啓太社長である。柳瀬氏は、全国の石材店をネットワーク化した墓掃除の代行サービスを核に「供養」に悩むすべての人々の相談窓口を目指している。結城氏は、介護業界向けのサービスを足掛かりに多くの企業が抱えるメンタルヘルスケア対策の悩みを解決する支援ビジネスを拡大中だ。
 供養とメンタルヘルスは、いずれも現代社会の大きな課題。ただ、本来は必須であるはずであっても、直視せずにいてしまいがちである。そうした分野に新ビジネスを見いだし、あえて切り込んだ2人の若手経営者の思いとは。

三反田 今回登場していただいた柳瀬さんと結城さんは、どちらかと言えばネガティブな印象の業界で新しい機軸を打ち出している会社を経営しています。もしかしたら、多くの人は日常生活や仕事で関係もしない、知らない、かかわることがないかもしれない。

 例えば、柳瀬さんの会社は墓掃除の代行業です。近い身内がそういう状況になったら、または自分がそういう環境に置かれたら興味は持つかもしれない。でも、普通は墓掃除を代行してもらおうなんて考えないですよね。結城さんが手掛ける「うつ病対策」のコンサルティングも、自分自身がすごく前向きでポジティブだったら関心も興味もないでしょう。

 意外と多くの人が知らない業界ということで、今回は対談をお願いしました。こうした業界があると知ることが、異分野の新しい融合を生むことにつながると思うからです。マイナスのイメージを感じるかもしれないけれど、恐らくすべての人が実は関係する業界ですよね。

 まず、柳瀬さんがどういう経緯で今のお仕事を始めたのか、話してもらえませんか。

(写真:加藤 康)
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柳瀬 僕がこの事業を立ち上げたのは、今から3年前の2011年です。メインのサービスは、三反田さんの紹介通り、墓掃除の代行です。初めて会った人は、十中八九が「なぜ、そんな仕事を始めたの?」と聞いてきます。

 この事業を始めたのには布石があります。出身が山口県で、父親は石材店を営んでいました。墓石屋さんですね。僕は長男だったので、本来であれば家業を継ぐはずでした。23歳で父の会社に入りました。でも、面白くなかった。それで1年だけ働いて、家出して東京に出てきたんです。

リアル開発会議 え? 家出ですか。