前回は、技術英語のテクニック「3C」から、英文を簡潔(Concise)に書き換えた例を紹介しました。今回は、残り2つのCを加え、技術英語の基本を解説しましょう。

Correct(正確):誤りを取り除く

 技術英語の3Cのうち最も重要なのは「Correct(正確)」です。スペルミスや文法の誤りを取り除き、和製英語や業界特有の略語の使い方、国・地域による度量衡の表記などを正します。

 あなたが仕事で作成する文書は、開発予算を増やしてほしい、設計の意図通りに作ってほしいなど、読み手に要求を伝え、最終的には売り上げや利益を生み出すための文書のはずです。そこに誤りがあれば、大きな損失につながりかねません。以下の英文には誤りが1か所ありますが、見つけられるでしょうか。

「我々のチームは画期的な手法を発見したので、明日公表する予定だ」
Since our team has discovered an innovative technique, we will disclose tomorrow. (誤)

 英語には「自動詞(うしろに「何を」にあたる目的語は不要)」と「他動詞(うしろに「何を」にあたる目的語が必要)があると学校で習ったのを覚えているでしょうか。「公表する/disclose」は他動詞なので、「we will disclose tomorrow」では、「我々は明日というものを公表する」という意味になってしまいます。

 公表するのは画期的な手法(an innovative technique)ですので、目的語として、繰り返しを避ける代名詞「それ/it」を入れ、

Since our team has discovered an innovative technique, we will disclose it tomorrow.

が正解です。

 たった1語抜けただけですが、スペルミスや文法の誤りから「いい加減な文書を出す会社」「正確な表現ができない技術者」と、企業や製品、あなた自身の信頼が失われてしまうこともあります。文書全体の信頼性を高めるために、正しい(Correct)英語表現は必須です。