日本人は英語へのコンプレックスを抱きがちですが、工場の移転先として増えているアジア地域などは、相手も英語が堪能とは限りません。いま、実務で必要とされるのは、ネイティブかノンネイティブかに関わらず誰もが理解できる分かりやすい英語です。そこで技術英語では、正確に(Correct)、明確に(Clear)、簡潔に(Concise)伝えるために、「3C」のテクニックを使います。

 例えば、「最近発売された新モデルには、合計5つの新機能が追加されている」と伝えたいとき、あなたならどのように英訳するでしょうか。

A total of five new functions have been added to the new model released lately.

 上記の英文は、原文の日本語を忠実に訳しており、情報としてヌケやモレはありません。では、次の英文を見てください。

The new model has five new functions.

 先の文章がA / total / of……と15語で書かれているのに対し、下の文章は半分以下の7語と、読むための労力が半分になりました。The new modelが主語になったことで何の話をしているのかが文頭ですぐに分かり、「追加されている/have been added」がhas(have)の1語で表されています。さらに、「合計5つ/A total of five」も要はfiveであり、new model であれば「最近発売された/released lately」といちいち言わなくても十分なので削られています。これが技術英語の3Cのうち、簡潔に(Concise)伝えるテクニックです。

 この3Cはなにも技術英語に限ったことではなく、日本語でも求められることです。新入社員のころに、「正しい敬語を身につけろ」「プレゼンでは要点を明確に」「報告書は簡潔に書け」などと指導を受けた方も多いでしょう。しかし、正確・明確・簡潔に書いたはずの日本語のビジネス文書でも、そのまま英訳しただけでは海外で通用することはまれです。ここに、技術英語で3Cが重要な理由があります。