「Trillion Sensors Summit Tokyo 2014」の様子
「Trillion Sensors Summit Tokyo 2014」の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年12月8~9日、東京で開催された「Trillion Sensors Summit Tokyo 2014」で「New Food Production Technologies」と題する講演があった。テーマは、農業にとどまらず畜産業まで含めた新しい食糧生産技術についてだ。当サミットの提唱者である米TSensors Summit社Chairman and CEOのJanusz Bryzek 氏が説明した。同サミットは、毎年1兆個のセンサーを活用して地球規模の社会課題を解決することを目的としており、同氏は食糧不足に対応する新技術として紹介した。

 既存の農業や畜産によらない新しい食料生産手法が必要なのは、将来にわたってすべての人に食糧を供給するためだ。現在でも多くの人が飢えに苦しむ中、人類の人口はまだまだ増えていくとみられている。野菜や穀物などの植物と、それを食べる動物を人類が食べ続けられるようにするためには、植物や動物を今よりもずっと多く生産しなければならない。この点については、「楽観主義者の未来予測 上/下」で紹介している(原題は「Abundance」、関連記事)。2050年までに農業生産量を2倍に増やす必要があるとの試算がある一方、耕作可能地の80%は利用済みで、気候変動によって作物生産量は今後10年間に10~20%減るという。

 この本では、解決策となり得る技術として、垂直農場、水産養殖、そして試験管肉を挙げている。垂直農場は、数十階建てのビルの各フロアを植物工場とするというもの(関連情報)。気候に左右されず、消費地である大都市で生産することが可能だ。水産養殖は人類にとってのタンパク源を供給するだけでなく、魚貝類の捕獲による生態系への悪影響も抑えられる。