mbed OSは2014年10月1日に開催された米ARM社の開発者向けイベント「ARM TechCon 2014」で発表されたIoT(Internet of Things)向けのOSである。米ARM社のプロセッサコア「Cortex-Mシリーズ」を採用したマイクロコントローラー/SoCで稼働し、通信、セキュリティ、デバイス管理などの基本機能を提供する(ARM社のmbed OSページ)。
ARM社の日本法人であるアームの内海弦社長は2014年12月3日、SEMICON Japan 2014のオープニングキーノートで講演した際、mbed OSについて「リアルタイムOSとLinuxのようなリッチOSの中間に位置するイベントドリブン型のOS」と説明した(関連記事)。リアルタイムOSが持たない各種の基本機能をあらかじめ実装することで、IoTデバイスの組み込みソフトウエアのコード記述量を削減する。特定のイベントが発生した場合のみ稼働する“イベントドリブン機能”によって、「センサーの測定値が閾(しきい)値を超えたら、特定のメッセージを出す」などの用途で省電力型プラットフォームとして機能する。
ARM社によると、mbed OSの基本機能には以下のようなものがある。
- Bluetooth low energy、Zigbee IP、Zigbee NAN、6LoWPAN、Threadなど、IoT/M2M向けの省電力型通信プロトコル
- 消費電力の自動管理
- ソフトウエア資産の保護とファームウエアのセキュアなアップデート
- ARM Cortex-Mシリーズを採用する主要ハードウエアのサポート
- OMA Lightweight M2Mプロトコルによるデバイス管理
- 追加機能を安全にアップデートできるエッジデバイスの実現
- TLS/DTLSによる金融機関クラスのエンドツーエンドIPセキュリティ
- 主要なオープンスタンダードをサポートしており、将来にわたる接続性とデバイス管理を保証する