常温接合部の断面。右のグラフは結晶の欠陥密度の相対値。オーストリアEV Groupのデータ(C. Flötgen, N. Razek, V. Dragoi and M. Wimplinger,"Novel Surface Preparation Methods for Covalent and Conductive Bonded Interfaces Fabrication," 226th Meeting of The Electrochemical Society, "2014 October)
常温接合部の断面。右のグラフは結晶の欠陥密度の相対値。オーストリアEV Groupのデータ(C. Flötgen, N. Razek, V. Dragoi and M. Wimplinger,"Novel Surface Preparation Methods for Covalent and Conductive Bonded Interfaces Fabrication," 226th Meeting of The Electrochemical Society, "2014 October)
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 半導体に使うシリコン(Si)基板と、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの基板(ウエハー)を常温で接合する技術が、光やパワーを扱うデバイスの量産に広く使われ始めている。高効率の太陽電池を実現したり、LEDランプや電気自動車の電源装置を安価にしたりすることにつながる。

 従来、ウエハー接合といえば数百℃の高温環境で実施することが一般的だった。しかし半導体の微細化に伴い、CMOS ICを形成したウエハーには、回路を損傷させないよう400℃を超える温度をかけないような低温接合が普及してきた。低温接合は、CMOS ICと、これとは別プロセスによるセンサーICを積層する用途で使われている。

 さらに最近になって、LEDやパワー半導体の市場が拡大すると、シリコン以外の材料の基板を安価なシリコン基板と、あるいは結晶材料と安価な非結晶材料と貼り合わせてコストを抑えたいというニーズが高まってきた。材料によって温度による伸縮率(熱膨張係数)が異なるため、常温で接合しないと貼り合わせた後に割れたり剥がれたりすることがあるからだ。