さまざまな業種の次世代リーダーたちが集まり、本気のビジネスプランを一緒に練り上げる「ビズラボ」の第1期がついに始まった。その内容は、受講生同士による自由闊達な議論、講師の多喜義彦氏が新規事業創出に不可欠な考え方や心構えを伝授する講義、そして同氏が受講生の悩みからアイデアを引き出す「公開コンサル」など盛りだくさん。受講生の一人で、自らも新規事業コンサルティングを手掛ける遠藤大祐氏がその様子を振り返る。(リアル開発会議)

 多様な立場の人々が一緒に新しい何かを作り上げる「共創」を、どう実現すればいいのか。それが、目下の私の悩みです。もしかしたらその解が見つかるかもしれないという淡い期待を胸に、私はビズラボに参加しました。

 私は普段、主に製造業向けの「価値創造型」アプローチによる新規事業コンサルティングを手掛けています。具体的には、企業を取り巻く環境の変化を幅広い視点から見つめ、その過程で生まれたアイデアから新規事業を創出していきます。私の役割は、さまざまな分野の専門家が対等な関係で意見を出し合える場をつくること。この経験を買われて、「あしたのコミュニティーラボ」というウェブメディアでも同様に共創活動の場づくりを支援しています。

 とはいえ、共創を実現するのは非常に難しい。最も苦労するのは、すべての参加者が納得するテーマを選び、実際にスタートを切ることです。簡単なプロトタイプを作ってスモールスタートを促すなど多くの方法を試していますが、これといった方法を確立するまでには至っていません。

仕事への思いを口にした瞬間、鉄人の眼光が鋭く光る

 そんな悩みを抱える私に一筋の光明が差し込んだのは、ビズラボの講師で、「開発の鉄人」の異名を持つ多喜さんの「公開コンサル」を受けた時でした。公開コンサルとは、全受講生が見ている前で多喜さんが一人ひとりの悩みを聞き出し、新事業のアイデアをひねり出すというものです。

 初めのうちは、所属企業の経営状況や自分の担当業務といった当たり障りのない内容を聞かれます。ところが、「新しい取り組みに挑戦する人を支援したい」と仕事に対する思いを口にした瞬間、多喜さんの眼光が鋭く光りました。そして、こう言ったのです。「破綻した地方自治体は、限界を迎える前に撤退させることができたのではないか」。

 これを聞いた私は、面食らってしまいました。自分の業務は民間向けのコンサルティングだと説明したのに、なぜ自治体という公共系の話が出てくるのか。そんな私の当惑をよそに、多喜さんはこう続けます。「はたから見ても当人たちから見てもダメなのは分かっているのに、やめられないことがたくさんあるよね」。さらに、間髪入れず「自治体引導」と言い放ち、「自治体の事業撤退に関するアドバイザリーはどうだろうか」と語りました。

 このアイデアは、私の担当業務と対極のものに思えます。しかし、よくよく考えてみると、世の中(特に自治体)には何かをやめたい人がたくさんいて、撤退を支援することは新しい取り組みへの挑戦を支援することにもなるという気付きが得られました。「開発の鉄人」の異名は伊達ではないと思いました。