2009年、立川敬二・宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長(当時)は、「はやぶさ2」に新規要素を入れるよう指示を出し、小惑星表面に小さなクレーターをうがつインパクターが装備されることになった。新規開発のインパクターが小惑星「1999 JU3」に到着後、きちんと動作するかどうかを確認する必要があるということになり、既に開発してあったリモートカメラ(分離カメラ)「DCAM」に白羽の矢が立った。DCAMはインパクターと共に、はやぶさ2に搭載されることになった。

 が、そこで話は終わらなかった。「どうせ観察するなら」と理学側研究者が新たな要求を出してきたのである。今回は、はやぶさ2に搭載するリモートカメラ「DCAM3」の開発を担当した澤田弘崇・JAXA月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC)開発員の話を聞く(図1)。

図1●澤田弘崇・JAXA月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC)開発員
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