2009年、それまで初代「はやぶさ」の同型機として検討されていた「はやぶさ2」の設計が変化した。「新規要素を付け加えることが必要」という当時の立川敬二・宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長の指示により、小惑星に直径数mのクレーターを作るインパクター(SCI:Small Carry-on Impactor、衝突装置)が付け加わったのだ。4.7kgの爆薬を破裂させ、2kgの銅の弾丸を2km/sの速度で小惑星表面に撃ち込んで、直径数mの人工クレーターを作り、クレーター内部、またはクレーターからの噴出物から、宇宙放射線による宇宙風化を受けていない星の内部のサンプルを採取する――工学的にも理学的にも大きなチャレンジとなる装置だ(図1)。短い開発期間の中で、どのようにしてインパクターを作り上げたのか、担当した佐伯孝尚・JAXA宇宙科学研究所助教にお聞きした(図2)。

図1●インパクター(SCI:Small Carry-on Impactor、衝突装置)
左の画像:JAXA
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図2●佐伯孝尚・JAXA宇宙科学研究所助教
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