2014年夏に募集した時の内容。この段階で初めて「一包化」という言葉が登場した
2014年夏に募集した時の内容。この段階で初めて「一包化」という言葉が登場した
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 ドラッガーは、調剤薬局で薬剤師が手作業でしている業務を自動化するためのシステムである。このシステムで、薬剤師および薬局全体の業務効率が大幅に改善するとともに、薬剤師は薬事相談などの付加価値が高い業務に時間を費やせるようになる。

 処方薬の調剤業務は薬剤師の手作業が多く、構造的に薬の取り違えや分量の間違いが起きやすくなっている。こうしたミスによる医療事故を防ぐために、薬局では実際に調剤した薬剤師とは別の薬剤師による「監査」も実施しているが、その負担は非常に大きい。薬剤師にとっては、監査業務に追われ、患者に直接的な価値をもたらす薬事相談などに手が回らないという本末転倒な事態を生み出している。

 調剤業務を自動化する装置は既に存在するが、その多くは院内薬局や病院付近の「門前薬局」を対象としたものであり、中小規模の薬局が導入するのは現実的ではない。ドラッガーは、中小規模の薬局でも導入可能なコストや設置スペースを目標とする。

 近年、日本全国の処方箋枚数は増加傾向にある。さらに、国策である医薬分業の推進によって、薬の処方が病院外の薬局で行われる院外処方の割合も高まっている。そのため、中小規模の薬局でも調剤業務の効率を高めたい、あるいは調剤事業に参入したいといったニーズは非常に根強い。ドラッガーは、このようなニーズに正面か
ら応えるものだ。

 厚生労働省の調査によれば、国内の薬局数は5万を超える。低コストや省設置スペース化を実現すれば、ほとんどの薬局が潜在顧客となる。現在、ドラッガーの中核技術になり得る「一包化」(異なる種類の固形薬を1つの袋にまとめること)の自動化にメドが付くなど、要素技術もそろいつつある。