このコラムでは、「リアル開発会議」が提案する開発プロジェクト「地産多商トレーサビリティー」の開発を追っていく。2014年9月のワークショップ開催を機に、趣旨に賛同する複数の企業が集まり、議論を開始している。。

地産多商トレーサビリティーのイメージ
イラスト:楠本礼子

 地産多商トレーサビリティーは、2014年春号で発表した「食の部品化プロジェクト」と「フィールド・モニタリングシステム」の二つの開発テーマを統合したものである。フィールド・モニタリングシステムは、「農林水産業の生産現場のあらゆる所で利用可能な汎用性の高いシステムを用いて、生産データと流通データを組み合わせて最終消費者までの完璧なトレーサビリティーを構築すること」を目指していた。

 一方、食の部品化プロジェクトは「食品や総菜などを調理した直後に-60℃に冷凍し、その後の保管は-20℃で流通させることで、食品を数カ月~数年という長期間にわたり、安全に保管できる。この冷凍保存システムを全国に普及させるとともに、IT技術を駆使して同システムを採用する食材生産地・生産業者間でネットワークを構築すること」を目的としていた。

 二つのテーマを統合することで、生産から加工、流通、消費までを見守り、冷凍保存技術を用いて食を安全においしく消費者に届ける堆積を築き、食の安全性とブランド価値を高めていく。これにより、地域の食材や特産品を“地産地消”に終わらせず、世界各地で購入してもらう“地産多商”を目指す。