IoTやメイカーズブームに高い関心

 2014年10月18日、19日には、「オープンソースカンファレンス(OSC)2014 Tokyo/Fall」(主催:オープンソースカンファレンス実行委員会)というイベントが開催されました。OSCは、オープンソースに関連した活動をする団体・企業がセミナーや展示を行うコミュニティーイベントで、ほぼ毎月全国のどこかで開かれており、累計で100回以上を数える歴史があります。東芝もブースを構え、前述のクレーンゲームなどFlashAirを応用した幾つかのデモを行いました。

 今回のOSCは、電子デバイスや工作の展示が目に見えて増えていたのが印象的でした。筆者が担当した、FlashAirの電子デバイス応用をテーマにしたセミナー講演でも、昨年に比べて2倍近い聴衆が集まり、IoTやメイカーズブームへの注目を感じました。

OSCのセミナーの様子
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 さらに、FlashAir Developersでは、2014年9月頃に実施していた「FlashAir Make アイデアコンテスト」の結果を紹介しています。メモリー機能とWebサーバー機能、そしてGPIO機能を組み合わせた面白い応用の応募が多数ありました。

 最優秀賞の「リアルタイム入退室ログ『今北ちゃん』」は、入退室管理を行う電子錠制御盤のSDカードスロットにFlashAirを装着してリアルタイムで入退室を監視し、業務用メッセージングツールへ入退室ログを送信するというものです。アイデアコンテストでしたが、実際に構築して既に稼働しているとのことで、様子もビデオで見られます。入退室管理システム側に機能がなくても、カスタマイズや工事を行うことなく、既存のSDカードインターフェースを使ってフックすることができる点を利用しています。

リアルタイム入退室ログ「今北ちゃん」
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 優秀賞の「うちわ over Wi-Fi」は、FlashAirのGPIO機能を利用してうちわを無線LAN経由で動かすというもので、離れた“誰かに”扇いでもらっているという感覚を実現するガジェットです。さらに、「うちわ over Internet」に進化したものが、「Mozilla Open Web Day in Tokyo」で展示されていたようです。

うちわ over Wi-Fi
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 このように、FlashAirを電子デバイスとして使うコミュニティーも少しずつ広がりつつあります。

 IoT的電子工作の入門として、FlashAirが魅力的な部品として使えることをご紹介しました。本連載では、WebサーバーAPIとGPIO機能、SDホスト機器から操作するiSDIO規格などについて、具体的な事例と合わせて紹介していきます。

 次回以降は、今回紹介したクレーンゲームを作ることを目標にして、WebサーバーAPIとGPIO機能を解説していきたいと思います。