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SCR大喜利

データセンターでの独自性追求が、FPGAや新型不揮発性メモリーなどの台頭を誘発

ビッグデータの棲家は半導体に何を求めるのか【服部 毅氏】

  • 2014/11/21 00:00
  • 1/2ページ

 今回のSCR大喜利では、「ビッグデータの棲家は半導体に何を求めるのか」と題し、なかなか動きが見えにくいデータセンター向け半導体をどのように考えていったらよいのか探っている。今回の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部毅氏である。

服部毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部毅(はっとり たけし) 大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学集積回路研究所客員研究員等も経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・理事。半導体専門誌にグローバルな見地から半導体業界展望コラムを7年間にわたり連載中。近著に「半導体MEMSのための超臨界流体(コロナ社)」「メガトレンド半導体2014ー2023(日経BP社)」がある(共に共著)。

【質問1】データセンター向けデバイスの市場で、半導体業界の勝ち組となるのはどのような企業か?
【回答】当面はx86プロセッサー, 従来型メモリー、まもなくARMプロセッサー,FPGA,およびSSD、いずれは新型不揮発性メモリーの各サプライヤー

【【質問2】パソコンやスマートフォンなど端末向けデバイスとデータセンター向けデバイスでは、そのビジネスモデルに違いがあるのか?
【回答】違いがある。汎用品のプロセッサ―(デバイス)側が端末システムを主導、独自のデータセンター・システム側がデバイスを主導

【質問3】データセンター向けデバイス市場の成長は、半導体の設計・製造技術にどのような影響を与える可能性があるのか?
【回答】汎用性の高いプログラムの開発環境、低消費電力半導体技術、新たなストレージ技術の進歩を促す

【質問1の回答】当面はx86プロセッサー, 従来型メモリー、まもなくARMプロセッサー,FPGA,およびSSD、いずれは新型不揮発性メモリーの各サプライヤー

 サーバー市場は、いまのところ、シェア8割のx86サーバーが寡占状態にあり、Intel社のデータセンター向け事業部門は2ケタ成長を続けている。しかしその一方では、サーバー業界トップの米HP社が、企業分割によりサーバー事業の立て直しを図ると言っている。同2位のIBM社も、いまやコモディティ化して利益率が下がり、今後さらに低価格競争に巻き込まれることが必至のローエンドx86サーバー事業を中国Lenovo社に売却。この分野から撤退してしまった。かつてIBM社からパソコン事業を買収したLenovo社がHP社からパソコンのシェアトップの座を奪っただけに、サーバーに特化してシェア拡大を狙うHP社の前途は多難だろう。差異化が難しいx86サーバーには、顧客から低価格化への要求が強まっているため、サーバー・メーカーのビジネスも今後は安泰ではない。

 モバイル向け分野でIntel社に圧勝しているARM社の陣営が、Intel社の聖域たるデータセンター・サーバー分野にも、得意な低消費電力技術で攻め込もうとしている1)。HP社やDELL社やAMD社もARMサーバーを手掛けるようになってきた。サーバー用アプリケーションの大半はx86向けに開発されてきたため、ARM陣営がソフトウェア・サポート体制を整備し、業界全体でエコシステムを構築するにはもうしばらく時間がかかりそうだ。

 最近、データセンターの性能向上や消費電力削減のために、動作周波数向上が難しくなってきたCPUにかわってFPGAを用いる動きが顕在化してきた2)。年間のデータセンターの電力および冷却費用は、サーバー購入費用の数倍もかかっているのが現状だ。サーバーの稼働にはデータの大量処理が遅く、電力効率の悪いx86は必ずしも必要とは言えない。むしろ不向きな場合が多くなってきている。FPGAは内部の論理回路をプログラムで組み換えでき、その論理回路と言うハードウェアで直接データ処理を並列にまとめて実行(パラレル・パイプライン処理)できるので、サーバー上のソフトウェアでスレッドの命令を逐次処理するマイクロプロセッサーよりもケタ違いに速く、消費電力も大幅に削減できる。結果的に、サーバー台数の削減も可能である、すでに金融機関のリアルタイム高頻度取引やクラウドおよびインターネットサービス企業の検索スピード向上に一部で使われ始めた2)

 パラレル・パイプライン処理という点では、グラフィックス処理を得意とするGPUが先輩格であるが、アーキテクチャが固定されているため、演算の種類によって向き不向きがある。同様にDSPを採用する場合もある。いずれにせよ、各自が扱うビッグデータの特徴や演算・処理目的によってマイクロプロセッサーを含めてこれらの半導体デバイスの使い分けが必要だろう。Intel社も、データセンター向けビジネスでは、今後はマイクロプロセッサーとFPGAを1チップで実装する方向のようだ。Xilinx社やAltera社などのFPGAベンダーは、既にARMコアを組み込んだSoCを標準品としてそろえている。

 ストレージに関しては、従来のFDDから比較的高速で低消費電力・低発熱の3次元NANDフラッシュメモリー搭載のSSDへの入れ替えが進む。これによりサーバー台数削減も図れる。しかし、フラッシュメモリーとメインメモリーである高速DRAMとの間には数ケタにもおよぶアクセス速度の差が存在する。このギャップを埋めるストレージ・デバイスとしてランダムアクセス可能な新型不揮発性メモリーに期待がかかる。これが実用化したら書き込み速度が遅く、しかも信頼性の悪いフラッシュメモリーの一部が置き換わるだろう(いわゆるハイブリッドSSD)。いずれ、高集積化と大量生産によりビット単価が下がれば、フラッシュメモリーの全部が新型不揮発性メモリーで置き換わるだろう。将来、DRAMもランダムアクセス可能な大容量超高速不揮発性メモリーで置き換わるようになれば、消費電力がさらに削減する。そうなれば、ストレージ・メモリー階層の概念が根本的に変わるだろう。ぜひそうなってほしいものだ。

 さらには、超高速近距離無線チップが実用化すれば、サーバー間やラック間を配線レスにすることができ、保守管理が楽になるだけでなく、配置の自由度が増し、接続信頼性が向上し、小電力化、処理性能の向上にもつながるだろう3)。まだまだ開発すべき半導体デバイスもIT技術やサービスも山ほどある。日本には、半導体産業やIT産業の成熟化が見えてきたなどという人が多いが、夢を描き、知識創造できる人にしか明るい未来は切り開けない4)。 

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