アドバンテストがBioOpto Japan 2014に出展した、テラヘルツ波を用いた非破壊解析装置
アドバンテストがBioOpto Japan 2014に出展した、テラヘルツ波を用いた非破壊解析装置
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 電波と光の中間的な周波数を備えるテラヘルツ(THz)波。その産業応用の動きが活発になってきた。非破壊検査(イメージング)や分光分析、超高速無線通信など、応用は幅広い。

 テラヘルツ波とは、周波数がおよそ0.1~10THz(波長30μm~3mm)の電磁波を指す(関連記事1)。有機物の特徴となるスペクトルがTHz帯にあることから、化学や医療、バイオ分野の分光分析に威力を発揮する。さらに、多くの物質を透過する性質を持つため、非接触での材料・工業品検査やセキュリティーなどの用途で期待を集める。通信分野では、比較的短距離での数百Gビット/秒の超高速無線伝送の実現手段になるとされる。

創薬分野などに威力

 テラヘルツ波の産業応用に以前から力を入れてきた企業の1つが、アドバンテストである。5年ほど前に、テラヘルツ波を用いた分光/イメージング装置を市場投入。発電所のタービンのコーティング材料や航空機の塗装材料、高速無線通信用セラミック基板の解析など、幅広い用途で使われてきた。関連事業の拡大に向けて、2014年4月には「テラヘルツシステム事業部」を立ち上げた。

 テラヘルツ波に関して同社が期待を寄せる用途に、医療分野がある。中でも、創薬分野での引き合いが増えているという(関連記事2)。錠剤の分光解析や、錠剤のコーティング膜のイメージング解析などだ。ここでは、近赤外光よりも錠剤の深部まで測定できたり、散乱が少なくパルスの反射情報から膜厚を解析できたりするといった、テラヘルツ波ならではの特徴が生きる。