[1]経営幹部が関与する期間は1年半では短い?

 あるものづくりプロセス改革セミナーで、改革成功のポイントについて講演を行ないました。その中で、経営幹部が改革に関与する期間は1年半必要であると解説しました。この内容の詳細については、以前に筆者が執筆したコラム( 「ものづくりプロセス改革の功罪」第14回)をご覧ください。そして、このセミナーの最後に行なった質疑応答のセッションで、某企業でものづくりプロセスの改革推進をされている方から、次のような質問というか反論の意見を頂きました。

 「私の過去の経験上、ものづくりプロセス改革で本当に成果を出すには1年半の期間では短すぎ、5年から10年くらいはかかります。私のこの経験と、講師の主張する1年半の関係がよく分かりません。そんな短い期間では、成果が得られないのではないでしょうか?」

 確かに、筆者が主張した、経営幹部が関与すべき1年半という期間と、実際の推進者が経験した5年から10年というプロセス改革の期間は、長さだけを比べると大きな隔たりがあります。そこで今回は、プロジェクト体制構築の重要ポイントである経営幹部の関与の仕方について、どのように考えていけばよいか、筆者の経験を交えて整理してみたいと思います。

図1●経営幹部の関与期間と、改革に必要な期間のギャップ
図1●経営幹部の関与期間と、改革に必要な期間のギャップ