「レーザー高度計」(LIDAR:LIght Detection And Ranging、ライダー)は小惑星の表面に向けてレーザー光線のパルスを発射し、反射光が帰ってくるまでの時間を測定することで、探査機本体と小惑星表面との距離を測定する装置だ。小惑星表面に降りていく「はやぶさ」(初代はやぶさ)と「はやぶさ2」にとって必要不可欠の機器である。小惑星の特定の場所までの距離を測定できるので、理学観測機器としても使用することになっている。

 ところが、初代はやぶさでは、その開発は難航を重ね、打ち上げぎりぎりまで粘ったものの問題は解決できなかった。結局運用を工夫することで乗り切ることになったが、いざ小惑星「イトカワ」の到着すると、探査機姿勢を制御するリアクション・ホイールの3基中の2基が故障したために、姿勢制御の精度が低下。きちんとイトカワ表面の狙った場所へレーザー光線を照射することが難しくなり、その性能を十分に発揮できなくなってしまった。

 はやぶさ2には、初代の装置を改良し、かつ目的地の小惑星「1999 JU3」向けに調整したライダーが搭載された(図1)。新たなはやぶさ2用ライダーについて、開発を担当した水野貴秀・JAXA宇宙科学研究所准教授にお聞きした(図2)。

図1●はやぶさ2用ライダー(フライトモデル)
画像:JAXA
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図2●水野貴秀・JAXA宇宙科学研究所准教授
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