図1●小惑星探査機「はやぶさ2」の外観
2014年8月31日の機体公開時のもの。
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年11月30日に打ち上げを予定している小惑星探査機「はやぶさ2」(図1)。同探査機は、小惑星「イトカワ」からのサンプルリターン(試料の持ち帰り)を果たした「はやぶさ」(初代はやぶさ)をベースに開発した探査機だ。そのはやぶさ2で強化された装備の1つが、地球と小惑星の間の往復航行に使う高効率な推進装置(推進剤を噴射し、その反動から推力を得るエンジンのこと)であるイオンエンジンだ。

 はやぶさ2には、初代はやぶさと同様、2種類の推進装置が搭載されている。化学推進(全12基)と電気推進の1種であるイオンエンジン(全4基)だ(図2)。化学推進は、燃料を酸化剤と合わせて燃焼させ、それによって生じた熱エネルギーで燃料と酸化剤(推進剤)を噴射する推進装置。一方、イオンエンジンは、イオンを噴いて推進力を得る推進装置である。推進剤をプラズマ(電子と陽イオンに分かれて自由に運動している状態)にし、陽イオンとなった推進剤を静電場によるクーロン力で加速して噴射する(図3)。

図2●はやぶさ2のイオンエンジンと化学推進
[画像のクリックで拡大表示]
図3●初代はやぶさに搭載したイオンエンジン「μ10」の耐久試験の様子
イオンエンジン点火のイメージが分かる。画像:JAXA
[画像のクリックで拡大表示]