モノカルチャーの組織は、失敗を避けるようになる

――新しいことをやるのに、空気を読むのは良くないわけですね。

橋口:よく何もしない人間に限って出世するという話がありますけれど、モノカルチャーだと失敗が許されなくなるので、みんな失敗を避けるような行動を取るようになります。そうすると、全員が前提として認識しているところから外れたようなことは言いにくい。

田子學:日本人の特性といっていいのかどうか分かりませんが、あうんの呼吸で動きますよね。それは、良い部分もあるけれど、逆にそれが裏目に出る場合も少なくない。

田子裕子:書籍にも書きましたが、社内の全員が前提としているようなことはわざわざ確認せずとも割愛できると思いがちです。しかし、共有しているつもりでも、なれ合いになって惰性で確認を怠ると、しばらく進んでから「あれっ、何か言っていることが違うな」となってしまうのです。

 だから、私たちが外部の人間として企業のプロジェクトに関与する場合に心掛けているのは、とにかく当たり前のようなことでも質問し確認することです。本当に初歩的なことも聞きます。その質問に対して、企業の人がきちんと答えられるかどうかというのが非常に大事だと思っています。

 もちろん、私たちは知識がないので純粋に教えていただくつもりで聞いているのですが、そういったやり取りによって同じ時間を丁寧に過ごすことでお互いの意識を共有できたり、パーソナリティーを理解できたりします。最初の段階では、レベル合わせといいますか、意識の共有みたいなことに多くの時間を割くようにしています。