宇宙航空研究開発機構(JAXA)には様々な部局があるが、「はやぶさ2」は月・惑星探査プログラムグループ(JSPEC)が管轄するミッションである。ところが、この事実はあまりきちんと一般には認識されていない。多くの人が、初代はやぶさもはやぶさ2も宇宙科学研究所のミッションだと思っている。

 初代はやぶさは、宇宙研で始まったミッションだが、2007年度のJSPEC設立と同時宇宙研からJSPECへ移管された。ところが世間的には「宇宙研のはやぶさ」として通っている。

 宇宙研は宇宙科学を研究する研究所ということで比較的理解しやすい組織だ。一方、JSPECは探査を担当する部局であり、一般の人の脳裏には「探査と宇宙科学って何が違うの?」という疑問が湧く。

 しかも、内閣府・宇宙政策委員会*1は2013年度に、宇宙研とJSEPCの役割は重複が多いから整理してJSPECを宇宙研に統合するという方針を打ち出した。2014年度からはJSPECに置かれていた将来計画を検討するワーキンググループが宇宙研に移管されている。

 一体、JSPECは何を目的とした組織であり、設立に込められた意図は何だったのか。2007年に川口淳一郎教授と共にJSPEC設立に動いた樋口清司・JAXA副理事長に、その意図と現状をお聞きした(図1)。

*1 宇宙政策委員会 宇宙開発利用に関する政策、経費の見積もり方針など、日本の宇宙政策の重要事項について調査審議する審議会。内閣府設置法第38条を根拠に内閣府に設置されている。

図1●樋口清司・JAXA副理事長
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