皆既月食の時の品川駅の様子
皆既月食の時の品川駅の様子
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 「もうだめかも…」

 2014年10月8日の午後8時過ぎの品川駅。私は現実を突き付けられました。この時ちょうど、雲間から皆既月食の様子が見えたのです。月が赤銅色に染まる神秘的な天体ショーに心を躍らせつつも、すっきりしない気持ちになったのでした。

 実はその時、私は日経エレクトロニクスの2014年10月27日号の特集「デジタルカメラは枯れるのか」を執筆しているときでした。キーボードを叩く手が止まり、それはそれで「もうだめだ…」と意気消沈していたのですが、帰り際に寄った品川駅で出会った光景がなかなかに衝撃的だったのでした。

 私が目にしたのは、スマートフォンを南東の空に掲げている多くの人たち。家路につく途中、運よく姿を現した赤銅色の月を写真に収めようとスマートフォンを操作していました。ソニーの「Xperia」を月に向けるサラリーマンのおじさん。米Apple社の「iPhone」を覗き込むOL風のお姉さん。中にはガラケーを構えるおばあちゃんの姿も…。