シリコンバレーのハイウエーを走ると驚くほど多数のEVを目にします。Model Sが当たり前のように走っているのに加えて、日産自動車の「リーフ」もよく見かけます。世界を見渡すと、欧州でもノルウェーやオランダ、英国などで普及が加速しています。Tesla社のようなEVメーカーの「充電を無料にする」といった戦略に加えて、政府の補助金などの支援策が追い風です。

 欧州の自動車大手もEVに積極的になっています。2014年10月14日、独Volkswagen社は2015年に日本でEVの「e-Golf(イー・ゴルフ)」と小型車の「e-up!(イー・アップ)」を発売すると発表しました。主力の人気車種にEVを投入するという決断は、同社のEVへの本気度を示しています。独BMW社も、既にEVの「i3」を日本市場に投入しています。

 日本ではEVの販売がこれまで伸び悩んでいました。日産のリーフや三菱自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の販売は期待ほど増加していませんでした。このため国内ではEVに対する厳しい見方も広がっていましたが、世界に目を向けると2013年からEVの販売は成長が目立っています。

 燃料電池車(FCV)の時代が来る──。トヨタ自動車やホンダが発売を予定するFCVへの関心が日本では高まっています。しかしグローバル市場を見渡すと、EVが力を持ちつつある動きは見逃せません。次世代車の覇権争いの趨勢(すうせい)が決まるはまだ先のようです。