「流れるウインカー」は、自動車のウインカー(方向指示器)の一種。複数の光源を同時に点灯させるのではなく、順番に点灯させる方式(連鎖式点灯、シーケンシャル点灯)のウインカーを指す。少しずつタイミングをずらして点灯させることによって、光が流れるように見えるので、こう呼ばれる。このほど、国土交通省がウインカーに関する基準を改正し、流れるウインカーを正式に容認することになった。

 流れるウインカーは、ランプや自動車全体のデザインの幅を広げる可能性を秘めている。従来は流れるウインカーの法的な位置付けが不明確で、自動車メーカーやアフターパーツメーカーは積極的に採用しにくい状況だった。基準改正前からドイツAudi社が一部の車種で標準仕様として採用するなどの動きはあったが、晴れて国交省の“お墨付き”が出たことで、今後は採用するメーカーが増えるだろう。

流れるウインカー
車体の内側から外側に向かって、つまり曲がる方向に点滅するという制御になっている。動画はAudi社の「A8」(ウインカーが点滅するシーンは1:03~)。

 国交省がウインカーの基準を改正したのは、海外諸国と歩調を合わせるためだ。日本は国際連合の「車両等の型式認定相互承認協定」に加入しており、同協定に基づいた規則の採用を段階的に進めている(現時点で全134規則のうち54規則を採用)。このほど、日本も採用しているウインカーに関する規則(第6号)の改訂が、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の第162回会合で採択されたことに伴い、国交省も「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)」のウインカーに関する基準の改正に至った(国土交通省の報道発表資料*1。今後は、協定に加入している欧州各国でも関連する国内基準の改正が実施される見込みだ。

*1 今回、ウインカーの他にも幾つかの規則が改訂されている。