パワー半導体の分野で、SiCやGaNなど化合物半導体系の材料を使った製品開発が活発化してきた。今回のSCR大喜利では、「パワー半導体の技術マップを探る」と題し、デバイスの材料を軸としてパワー半導体事業の先行きを見通していただいている。今回の回答者は某半導体メーカーの清水洋治氏である。
清水洋治(しみず ひろはる)
某半導体メーカー
【質問1の回答】棲み分けは当面続くと思われる
パワー半導体でもっとも重要な性能は「効率」である。効率だけを求めれば確かに一本化はあり得るかもしれない。しかしコスト、不良率など効率だけで測れない部分もある。このため、一本化は、かえって製品の幅を狭めてしまうと予想する。
パワー半導体には多くの設計ノウハウがあって、ノイズをどうするか、カップリングをどうするかなど、設計とプロセスの一体化で性能を達成できている。デバイスだけあれば、だれでも同じ性能を出せるという単純な世界ではない。市場が要求する性能を「設計」「デバイス」「製造」で三位一体となって供給できることが最も重要で、Si系、SiC系、GaN系という分類は、実際の市場からは見えない部分。三位一体となって、市場要求に応えられる限りは、棲み分けは当面続くと思われる。ニッカド電池、リチウム電池も棲み分けができているように。