筑波大学「組み込み技術キャンパスOJT」(COJT)を受講している学生たちが自ら発信していく本コラム。今回は、「ハードウェア(H/W)コース」の「ソフトウェア(S/W)寄りチーム」の登場です。(編集部)

 初めまして、私たちはCOJTのH/WコースのS/W寄りチームです。COJT受講生のうちコラム執筆に名乗りを上げたメンバー7人を、本人の興味のある分野によってS/W寄り・H/W寄りと2つのチームに分けました。S/W寄りチームは画像処理や拡張現実、H/W寄りチームは制御技術や音楽機器などに興味があります。秋学期に各メンバーが作成するオリジナルの組み込みシステムもそれらに関連した作品になると思います。

 S/W寄りチームのメンバーは赤崎・尾前・中川・西口の4人で、全員が工業高等専門学校(高専)からの編入生です。今後COJTでの活動内容をお伝えしていくに当たり、今回は私たちの自己紹介をします。

H/Wの素人があえて挑戦してみた

 高専から筑波大学情報学群情報科学類へと3年次編入した赤崎智と申します。

 私は高専で卒業研究として、自分が在住する市の市民意識調査アンケートのテキストマイニングを統計解析ソフトで行い、それによって得られた特徴語などを多変量解析し、市民意識の向上につながる因子を分析・検討しました。もともとデータマイニングに興味があり、高専では難しかった大規模データ処理や画像認識・機械学習系の勉強がしたくて筑波大学に編入しました。

 COJTを受講した理由としては、まず「充実した環境」が挙げられます。これについては、ティーチングアシスタント(TA)の丸山さんが記事で存分に語ってくれているのでそちらを参照してください。

 情報処理系の技術に関心のある私が、なぜCOJTでH/Wコースを選んだか。私は高専時代、特に趣味でH/Wをいじっていたわけではなく、卒業研究もH/Wとは全く関係のない分野です。H/W記述言語に関しても全くの素人です。このままH/Wのことに関して何も知らないまま、S/W寄りの知識ばかり蓄えていくのか。そこに疑問を感じて、あえてH/Wへの挑戦を志しました。

市民意識調査アンケートのテキストマイニングに関する卒業研究
アンケートにおいて、分析時に扱いづらい自由意見欄の特徴語を抽出し、データを可視化した。回答者数を点の大きさで、共起(同時に出現した単語)を線のつながりで示している。線が太いほど、共起した回数が多いことを意味している。
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 しかし、H/WはS/Wと異なり、挑戦しようにも高いハードルがあります。回路シミュレーター、FPGAボード、論理合成ソフトなど、作るのに必要なものは学生の身分では金銭的に手が出しにくいものばかりです。COJTではそれらがすべて揃っており、充実した環境でH/W記述からFPGAの実機動作まで基礎的を身に付けられます。

 私が興味を持っている分野である画像認識系(ニューラルネットワーク*1など)の回路を、自由課題で挑戦できるというのもH/Wコースを選んだ決め手の一つでした(S/W寄りチームとなった理由でもあります)。H/Wのことを学び、興味のある分野の技術をH/Wで動かす、それがH/Wコースを選んだ理由であり目標なのです。

*1 ニューラルネットワーク 人間の脳の神経回路の仕組みをモデル化したネットワークのこと。ある入力に対しその入力に対応する出力が得られるように学習し、ユニットの結合度を調整する。

 読者の皆様に少しでもCOJTに興味を持ってもらえるように、他のメンバーと協力しながら「COJTの生の声」を伝えられるように頑張ります。