パワー半導体の分野で、SiCやGaNなど化合物半導体系の材料を使った製品開発が活発化してきた。今回のSCR大喜利では、「パワー半導体の技術マップを探る」と題し、デバイスの材料を軸としてパワー半導体事業の先行きを見通していただいている。今回の回答者はIHSテクノロジーの大山聡氏である。

大山 聡(おおやま さとる)
IHSテクノロジー 主席アナリスト

1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年より現職で、二次電池をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。

【質問1】パワー半導体でSi系、SiC系、GaN系の棲み分けの構図は、将来も続くのか?
【回答】耐圧領域やスイッチングのスピードに明確な差があるため続く

【質問2】複数材料系のデバイスを同時開発するメーカーについて、事業のシナジー効果が望めると考えるか、それとも戦力分散を招く可能性が高いと考えるか?
【回答】特定アプリケーションで強みを発揮できるが、負担が大きいのは事実だと思う

【質問3】材料系を絞って技術開発を進めるメーカーは、継続的に事業を営むために市場の開拓・維持をどのように進めるべきか?
【回答】特定アプリケーションでの特定顧客と共同開発を行う手段が有効と思われる

【質問1の回答】耐圧領域やスイッチングのスピードに明確な差があるため続く

 現時点では、600V~1200VレベルにおいてはSiCとGaNの双方が対応可能な領域である。これより高圧だとSiC、低圧だとGaNが有効とされている。今後のプロセスの発展次第では、共存領域が変化することもあり得るが、両者の耐圧領域は必然的に棲み分けられる、と考えている。

 またスイッチングのスピードについては、GaNの方が有利で、SiCとの差異化要因として将来的にも有望視できると考えている。