2013年11月に改正電気事業法が成立し、日本でも電力システム改革が動き始めた。改革のポイントは、(1)垂直一貫体制を見直して「発電」「小売り」「送配電」に再編、(2)一般電気事業者の地域独占を改めて小売りと発電を全面自由化、(3)総括原価方式による電力料金設定方法を撤廃し、送配電を除く全事業者が対等な競争環境の確保――の3点である。

 中でも、(2)の小売全面自由化によって新たに7.5兆円の市場が開放されると見られており、各事業者の競争が水面下で激化してきた。日経BPクリーンテック研究所が2014年8月29日に刊行した『電力・エネルギービジネス総覧』では、一般電気事業者の法的分離によって生まれる小売事業者間および新電力(PPS)との間で激しい競争が繰り広げられると分析。さらに、新電力が一般電気事業者のシェアを奪う形で競争が進むほか、一般電気事業者同士が従来のエリアを超えて越境販売するだろうと予測している。

 参入事業者の競争力の源泉は、低価格の電源確保やインバランス料金の極小化によっていかに販売価格を下げられるかと、魅力的な料金メニューや顧客サポート体制を構築できるか、である。

 ここで言うインバランス料金とは、今後の電力ビジネスを見ていくうえで重要な需給調整の制度変更である。現在、政府が詳細な制度設計を詰めているが、これまで一般電気事業者が持つ系統網を使う新電力に課されていた「30分同時同量」(30分ごとの需要量と供給量の差を±3%以下に抑えること)から「計画値同時同量」(発電・需要計画値を事前に提出し実績値との差でインバランス料金を精算)に変わる。このインバランスを最小化することが参入事業者の競争力の一つを決める。