専門的な知識がなくても幅広く開発できる

 あらためて、COJTについて紹介します。COJTは、学類(学部)の3年生を対象とした通年講座です。LSIから組み込みソフトウェア、Web技術に至るまで、幅広い内容を扱います。講座の運営では、企業からの支援も受けています*1

*1 企業からの支援については、本稿の末尾に記載。

 このうちハードウェアコースは、システムLSI設計の習得を目的とした講座です。ARM系CPUのハードマクロとFPGA*2が1つのチップに収まったシステムLSIを搭載する評価ボードを用いて、CPUとFPGAが協調動作するシステムを開発していきます。

*2 FPGA field programmable gate arrayの略。中身の論理を電気的に書き換えられるLSIのこと。
評価ボード
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 春学期(前期)は「映像信号の入出力」をテーマに、基本的なハードウェア記述言語の記述方法を学んだ後、ディスプレーに映像を出力するための表示回路と、カメラから映像を取り込むためのキャプチャー回路を作成します。この過程で基礎を固めていきます。秋学期(後期)は「グラフィックスLSIとSoCの設計」をテーマに、映像の加工やテクスチャーの描画を行うグラフィックスLSIを設計し、春学期で身に付けた能力を応用した回路設計に挑戦します。その後、それらを用いて各自がオリジナルの組み込みシステムを立案・開発し、最後に成果を発表します。

 一方のソフトウェアコースでは、春学期はWebとの融合が加速するソフト開発分野において最近の中心的な手法であるHTML5に着目し、「今何ができるか」「今後どういうことが実現できるのか」といったアウトラインを理解した上で、文法やスタイル、UX(User Experience、ユーザー体験)など、Webソフト開発技術を実践的に学習していきます。秋学期では、システムの企画から発表までの開発プロセス全般を作品制作として実践します。HTML5に対応する3Dオーサリングツールを使用することで、学生があらゆる分野の専門的な知識を習熟していなくても、幅広く開発できるようになっています。