乗用車の燃費と排ガスの試験法を、国際的に統一する取り組みが進んでいます。国際連合の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)内の作業部会の一つで、2009年から議論してきました。既に走行パターンや試験条件といった骨子は固まり、今後は残る細かな条件を詰める段階。統一試験法は2017年ごろに欧州、その後に日本で採用が始まるとみられています。

 試験法は「WLTP(worldwide harmonized light vehicles test procedure:乗用車などの排出ガス・燃費国際調和試験法)」と呼ばれ、2014年3月に走行パターンと車両質量などの試験条件が、世界技術規則(GTR No.15)として成立しました。

 試験法が統一されれば、自動車メーカーは複数の国・地域で認証を取るのに必要なデータを1回の試験で得られます。一方ユーザーは、世界の車両の燃費や排ガス性能を比べやすくなります。

 現在の日本の試験法である「JC08モード」と比べた詳細については日経Automotive Technology誌の記事(有料会員)に記しましたが、JC08モードに比べて燃費性能として表示する数値は悪くなる可能性が大きいでしょう。走行パターンを見ると、JC08モードより加減速の大きな領域が多いことに加えて、試験時の車両質量がJC08モードに比べて重くなるためです。

 さらに、議論はこれからですが、WLTCではエアコン使用時の燃費を考慮することを検討しています。JC08モードのカタログ燃費に対して実燃費は少なくとも「2割悪化する」とよく言われますが、WLTCに移行すれば実燃費とのかい離はかなり小さくなるかもしれません。