今年の1月から連載を始めた本欄では、主に日系半導体メーカーの現状や動向を整理しながら、筆者の独断と偏見で各社への提言めいたことを述べさせて頂いている。それが「勝手にコンサル」というコラム名の主旨であるわけだが、今回は世界の大手半導体メーカーの時価総額(=発行株数×株価)に着目しながら、筆者の個人的な「感想」を中心に筆を運んでみたい。これまでとは少し違った視点で各社を比べてみたい、という主旨をご理解頂ければ幸いである。

 図1は、2013年の半導体売上高トップ10社を並べたものだが、これに2014年9月18日時点の各社の株価を基にした時価総額を併記した。10社のうち韓国Samsung Electronics社と東芝は総合電機メーカーで、半導体以外の事業も多く持っているため、半導体の売り上げだけで時価総額を比較することにはやや無理があるかもしれない。ただし、その他の8社は純粋な半導体メーカーと見なすことができるため、この比較にはそれなりの意味があるだろう。

図1●各社の時価総額と半導体売上高(出典:IHS, Bloomberg)
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 Samsung社の時価総額は米Intel社と拮抗しているが(1000ウォン=1米ドルで換算)、Samsung社の営業利益のうち、2014年上期時点で携帯電話機事業が69%を占めており、これが同社の時価総額をこのレベルにまで押し上げた要因といえよう。ただし主力製品である「Galaxy」シリーズの売上高が直近では伸び悩んでおり、同社の株価も2014年初頭から下落基調にある。DRAM、フラッシュメモリー、液晶パネルなど多くの電子デバイス分野で世界首位の実績を誇る同社としては、その下振れをこれらで補いたいところだが、いずれもGalaxy向けの売上比率が高いため、補うどころか業績が悪い形で連動しているのが現状である。同社は今後Galaxyで巻き返せるのか、Galaxyに代わる新たな戦略商品を生み出せるのか。正念場といえよう。