客の呼び方にも色々ある。お客様と言ったり、お得意様、顧客、ユーザーなど、実に様々だ。乗り物に乗る客は乗客で、スポーツや演劇を見る客は観客と言うが、歓楽街に行ったりすると、男性客は全員が社長さんやダンナさんと言われるのだから笑ってしまう。

 このように、私たちは客の呼び方を使い分けている。それは、商品やサービスを供給する側から見て、相手はどのような客であるかを分けているからである。いつもひいきにしてくれている客は大事だから、客に「様」が付いてお客様、お得意様となるわけだ。

 さて、客にも色々あるのだが、新聞や報道では、客のことをひとまとめにして消費者と表現することが多いようだ。最近では消費者庁という、消費者の視点で政策全般を監視する役所もあるくらいで、客のことを消費者と言うのが一般的になっている。

 しかし私は、客にはもう一つあると考え、それを使用者と呼んでいる。客は大別して二種類あって、一つは消費者、そしてもう一つが使用者であると思うのだ。

 説明すると、消費者とは商品やサービスを消費、すなわち使ってなくす客である。対して、使用者とは商品やサービスを使用する人で、使ってなくすことはしない。何を細かいことばかり言っているかとしかられそうだが、客を消費者とみるか使用者とみるか、これは大事なことである。