半導体の技術と業界の今と未来を、さまざまな視座にいる識者が論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「控えめな支配者ARMの功罪」である。なぜこれほどARMが普及したのか、ARMの未来のポジションはといった、ARMに関してあまり語られていな側面を議論している。今回の回答者は、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。プロセッサーなどのユーザーの立場から議論する。
某ICT関連企業
【質問1の回答】いろいろ理由はあるが、最大の理由は知のネットワークの成功
まずARMは低消費電力のデバイスであるというイメージが広まったことで特にモバイル系システムで普及した。また多くのメーカーから同一アーキテクチャの製品が提供されることにより、供給性などでの安心感も普及に大きく貢献した。
もう少し深堀すると、インターネット革命によって社会が変化したのと同じ原理が、プラットフォーム・プロセッサの世界も変えたということではないか。結果的には知のつながり、知のネットワークでビジネスするプレーヤが勝ち、自社技術の強みだけでビジネスするプレーヤが勝てなかったことではないか。
オープン化により情報格差がなくなった世界において、いかに主権を握るのか。ファン創出とビジネス・モデルの巧みさでARM社が秀でていたためと考える。