日経ものづくりでは、製造業にとって新たな成長を牽引することができそうな新分野に関する情報提供を強化しています。例えば、2014年7月号では、医療に焦点を当てた特集記事「医療×ものづくり」を掲載しました。そして、2014年9月号で取り上げるのが、最近、特に製造業による取り組みが活発になっている「農業」分野です。

 今回、取材に奔走している真っ最中の吉田記者、中山記者と、特集のタイトルを決める会議をしました。いろいろなアイデアが出ては消えていく中、中山記者が発した「インダストリアル農業って、どうですかね?」という一言に、一同はピンときました。昨今、「インダストリアル・インターネット」や「インダストリー 4.0」などの言葉が、よくメディアを賑わせています。前者は産業機器の挙動などをインターネットで管理する概念、後者は「つながる工場」を意味する言葉で、インターネットを介して工場内外の物やサービスと連携する概念です。両者に共通するのは、これまで関係が薄かった産業機器や工場がインターネットにつながる、すなわちITと製造業の知見が融合することで、新しい産業が生まれるというダイナミズムです。

 我々が今回、インダストリアル農業というネーミングを特集に施したのも、今まさに起こっていることが、農業と製造業の知見の融合が急速に進んでいるとの思いが背景にあります。では、実際に、どのような融合が進んでいるのか、豊富な事例とともにまとめました。

 特集2では、前述の「つながる工場」の続編です。今、国内の工場では一見、人がいなくなっています。しかし、設備の点検や保守、段取りなどにはまだまだ人の手と頭が必要です。この人の負担をさらに減らせる可能性があるのが、IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)、すなわちネットワークを利用したビッグデータの高度な活用です。究極とも言える「無人化」を視野に、国内工場で始まった、これらのデータ活用の取り組みをご紹介します。どうぞご期待ください。