ルーヴル美術館の建物が東芝のLED照明によって照らされるようになってから早3年、筆者は2度目の訪問をした。前回は設置途中だった「ナポレオン広場」と「赤の間」、「モナ・リザ」を照らす照明の完成した姿を、今回の訪問で初めて見ることができた。前回撮影した写真を見返し、今回撮影したものと比べてみたが、緻密に計算されたLED照明の設置によって美しく照らし出される建物の様子は感動的ですらある。(前回の記事「【写真で見る】東芝のLED照明製品、仏ルーヴル美術館を照らす」)

左の写真は、2014年4月6日午後9時ころにナポレオン広場を撮影したもの。ピラミッドを囲う建物にLED照明が設置された。全ての照明の向きや調光が終了した状態で、建物はさらに美しさを増した。右は、2011年12月25日午後7時ころの撮影。向って右側の一部のみ試験点灯中だった。(写真:Granage LLP)
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 東芝がルーヴル美術館と契約を締結し、照明改修プロジェクトに着手したのは2010年6月のこと。このプロジェクトは同年~2023年という10年以上の長期にわたるもので、今年で5年目 を迎えた。

 プロジェクトで重視しているポイントは、大きく二つある。「現状を守っていくこと」「劇的な変化よりも、いつもどおりの日常の中の変化を大切にすること」である。これは「新しい技術を活用しながらも歴史あるルーヴル美術館の伝統を守り続けること」を大切にする美術館スタッフからの要望であった。

 当然のことながら、改修に対する美術館側からの要求は厳しい。東芝は、これまで培ってきたLED照明の技術をフルに活用していくつもの技術的な壁に挑み、要求に応えた。結果、LED照明が照らす歴史的な建物や美術品は従来の美しさを維持したまま、多くの訪問者に提供されている。

2014年4月6日午後9時ころに撮影した。以前よりも照明器具から出る余計な光が抑えられているように感じた。(写真:Granage LLP)
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 第一弾として、中庭のナポレオン広場にある「ピラミッド」「ピラミディオン」「パビリオン・コルベール」の外観照明の改修を2011年12月に終え、同6日に点灯式を行った。その後、ナポレオン広場全体の照明設置が2012年5月に完了した。現在は2015年3月末の完成を目指して「クール・カレ(方形中庭)」や「ナポレオン・ホール」の照明改修を進めている。

 これらの屋外照明の要求事項は前述の二つポイントに加え、「光が直接目に入り眩しさを感じさせないようにすること」「LEDの発光点が目立つ、いわゆるツブツブ感が表れないようにすること」である。これを実現するため、LED照明光を拡散するフィルターの装備や、ルーヴル美術館の建物の一部として調和する照明器具の形状を工夫している。