[1]投資対効果の重要性が高まる理由

 筆者は、業務プロセス改革に関わるさまざまなテーマでセミナーを企画しています。投資対効果に関するセミナーの集客数は他テーマと比較して安定して応募が多く、増加傾向にあります。このことから、投資対効果は、業務改革推進部門や情報システム部門にとって最も関心のあるテーマの1つであると感じています。

 セミナーにご来場いただいた方に「投資対効果について、具体的にどのような点に関心があるのか」と尋ねると、多くの方が、「定性・定量効果のまとめ方」「ITベンダーから良い提案と見積もりを引き出すためのRFP(提案依頼書)の作成」だとおっしゃいます。筆者は、これらの部門の方々と一緒に業務プロセス改革の構想企画書を作成させていただく機会は多いのですが、企画をまとめる難易度は年々高くなってきているように感じます。その中でも特にターニングポイントになったのが、リーマンショックだと思います。

 それ以前は、多くの案件は、事業部や部門の個別最適化を求めるものでした。事業部の収益が良くなれば会社の収益が良くなる、という考え方で、つまり足し算の論理だったのです。しかし、リーマンショック以後、個別最適ではなく、企業全体最適を求める企画案件が増加しました。売上の伸びが停滞傾向なので、企業全体視点で効率を高めようとする考え方です。