向かって行くときは子供の精神
――「魂の在りか」とか「悟りを求める」と言うと、どうしても仏道修行みたいなイメージを思い浮かべます。何ものにも動じないような人格者のイメージです。
山口 結果として人格的な何かを得るのかもしれませんが、向かって行くときは子供の精神です。どうしても知りたいものがそこにあって、突き抜けたいから行くという感覚でしょう。
――つまり真理をつかみたい。
――悟り、ですか。
山口 釈迦牟尼(ゴータマ・シッダールタ)もそうだったと思います。彼も激しい苦行をします。そのときはやっぱり知りたかったのだと思います、その向こうにあるものを。
――確かに仏教は宗教というよりも一種の哲学というか、この世界をどう把握するか。
山口 そういうことです。世界の把握の仕方ですね、あの世も含めて。仏陀が悟りを開いたのは30歳代だと言われています。悟りを開いた瞬間、嬉しくてみんなに知らせに行くわけです。おれはこんなことを見つけたと。あれ、かわいいですよね。
――かわいい(笑)。
山口 あの感覚です、科学者がやっているのって。
――「ユリイカ(見つけた)!」という感じですか。
山口 そうですね。アルキメデスだって裸になって飛び出していったわけですから。
――それは嬉しいですよね。
山口 嬉しいですよ、やっぱり見つけたら。