毎日を吉日にしよう

 多分、人間は太古の昔から、何かを始める期日を自分で決めることが、本当に苦手ではないだろうか。この六曜は、その証拠と言ってもいいだろう。六曜は、何かを始めて失敗した時の言い訳として、あらかじめ、具合のよい日や悪い日を決めたということではなかろうか。「なんだ、その日は仏滅だったのか、それで駄目だったのか」と言う具合に、誰も傷付かない、責任転嫁の言い訳なのだ。

 さて、「思い立ったが吉日」と言うことがある。何かをするのによいとされる日のことだが、よく考えると、この言葉には深い意味がある。開発を始めるタイミングや、新事業・新商品をリリースする時期をどうするか、それを言い表しているのではあるまいか。最初に書いた、新しいことを始めようとして迷った時、とにかくやろうと背中を押す理屈として「吉日」と言うことにしたのである。あれこれ迷っても、始めないことには始まらない(笑)。しかし、吉日と言えば、誰もがそれでよいと認めるし、とにかくやろうという気持ちになるのである。

 そうだ、これから毎日を吉日にしようではないか。迷ってもくじけそうになっても、今が吉日と思えば、やるしかない。そうして、開発を進めるのである。

 ところで、この原稿を書いた日はどうかって? そんなこと、私は毎日が吉日なのだから気にはしないが…。どれどれ、手帳を見ると…、おっと、大安だ。ははは…。

開発の鉄人”ことシステム・インテグレーション 代表取締役の多喜義彦氏は、これまでに3000件の開発テーマの支援に携わり、現在も40社以上の技術顧問などを務めている(システム・インテグレーションの詳細はこちら)。「リアル開発会議」では、多喜氏を指南役に、オープンイノベーション型の新事業開発プロジェクトを開始する(詳細はこちら)。