日経テクノロジーオンラインの技術経営とその関連サイト「アジア」「Japan Technology Next」「COLLEGE」に投稿された全ての記事(2014年7月18日~8月17日)のアクセス数ランキングは、今秋の発売がうわさされる米Apple社の次世代スマートフォン「iPhone 6」が、台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)に与えるインパクトを取り上げた「『空前にして絶後』iPhone 6に高まる期待」がトップとなった。人気連載「上海発EMS通信」からの1本である。
ここ数年、台湾のEMSは利益率の低下に悩んできた。上記記事によると、顧客に逃げられてしまうことを恐れて値上げできず、逆に「受注を継続するため、自発的に値下げに動いた企業すらある」状態だった。例えば、ノートパソコンの受託生産では粗利4%を維持することさえ難しく、粗利が1.5%程度まで低下したために撤退を強いられたEMSもあったという。
米Apple社のiPhoneでも事情は同じ。iPhoneはフォックスコン、Pegatron社、Wistron社といった台湾EMSの大手3社が受託生産してきたが、粗利は2%程度だった。だが、中国や台湾のメディアによると、iPhone 6の受注台数は「空前絶後」「史上最大」になると見られている(台湾の週刊誌『商業周刊』は、iPhone 6の初期ロットを6800万台と報道している)。この巨大な受注台数が、台湾EMSに「値上げを実現に移す勇気」を与えているというのだ。
ランキング2位は、「第7回:焼き餃子の新たな創造」。2014年3月に公開した「焼きギョーザの「新規性」と「進歩性」」の続編である。
前編では、餃子と言えば水餃子が普通である中国出身の著者・徐航明氏が、日本で生まれた焼き餃子における「イノベーション」を分析した。今回はその続きとして、フランス・パリや餃子の本場である中国で、日本発の焼き餃子が急速に知名度を高めていることや、焼き餃子の世界進出を支える東亜工業の「小型餃子製造機」が実際に使われている様子を紹介する。
7位の「中国での高齢者向けビジネスを探る」は、中国での老人ホームやデイケアサービス運営に乗り出す日本企業の現状を取り上げたものだ。日本国内で高齢者向けビジネスの実績を持つ企業でも、文化や商習慣など国情の違いは大きな壁になる。そこで、中国企業と提携しながらの新しい取り組みが始まっているという。
3位、6位、18位には、日本刀という世界でも類を見ないほど美しい「道具」について、その歴史や技術の変遷を詳しく解説した記事がランクインした。3位の「第1話 『最も強く、美しい武器』」、6位の「第2話 『今なお底知れない鉄のナゾ』」、18位の「第4話 『頂上へ至る道はひとつではない』」である。
いずれも2009年に公開された記事で、それぞれ20ページほどの長さがあり、かなり読み応えがある。お盆休みの間に、改めて読んだ方が多かったのではないだろうか。